わかりやすい年次報告書の書き方についてご紹介します!


近年日本でも取り入れられてきた「年次報告書」をご存じですか。
一部の上場企業では取り入れられており、企業について投資家や金融機関が判断する重要な資料となっています。
そこで今回は、「年次報告書の概要」、「年次報告書の書き方」、「書く際の注意点」をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。

□年次報告書とは?

年次報告書とは、企業が将来のビジョン、経営戦略、財務状況などを記した冊子です。
年度末に作成され、株主や投資家、金融機関などに配布されます。

年次報告書は、日本の法律によって作成、頒布が義務付けられているものではありません。
本来、アメリカの証券取引所法によって定められているもので、「アニュアルレポート」と呼ばれています。

しかし、情報公開の重要性がさけばれている近年、日本でも作成されるようになってきました。
中でもグローバル企業では、日本版と英語版の両方を配布している企業もあります。
また、上場企業には年次報告書をインターネット上で公開しているところも多いです。
この場合、誰でも閲覧できることが多いです。

年次報告書の特徴は、企業の個性が表れやすいことです。
これは、法律で作成が義務付けられていないことで、内容や書き方が自由であることが要因です。
そのため年次報告書は、株主や投資家にとって重要な資料であると言えます。

具体的な内容としては、以下のものが一般的です。

・企業の長期的なビジョン
・経営戦略
・社員の状況
・顧客満足度
・経営者の考え方

このように、主に財務諸表に載らない部分が記述されます。

まとめると、年次報告書は、財務諸表では伝わりづらい、一方で投資家や株主にとって必要な情報を伝えるものです。
書き方や内容が規定されていないからこそ、その点の工夫が重要になってきます。

□年次報告書を書く際の5ステップ

1ステップ目は、「目的の明確化」です。
「どうして」、「誰のために」、「どんなことを」記載するのかを考えましょう。
年次報告書は読み手にとっては企業を判断する重要な資料です。
そのため、「読み手は何を期待しているか」を考えるようにしましょう。

2ステップ目は、「結論をまず述べること」です。
ビジネスにおいては普通、最初に結論を述べます。
最初に結論を述べることで、文書の理解の早さ・しやすさが向上します。
忙しい読み手にとってこの工夫は大切です。

3ステップ目は、「見出しの挿入」です。
これは「結論をまず述べる」と同様の理由で、見出しを加えることで文章の理解の早さ・しやすさを向上させることが目的です。
見出しを入れない場合も、文のまとまりごとに、冒頭に主張を入れると良いでしょう。

4ステップ目は、「概要を書くこと」です。
概要があることで、読み手は「この報告書を読むべきかどうか」を判断できます。
一目で内容が分かる概要は、可能な限り取り入れると良いでしょう。

5ステップ目は、「ピラミッドストラクチャーを意識すること」です。
ピラミッドストラクチャーとは、まず「結論」があり、それを導くいくつかの根拠が下にあるという構造です。
これを年次報告書に当てはめると、まず報告書の結論があり、その次に根拠が来るという構成になります。

以上のステップを踏むことで、適切な年次報告書を作成できます。
まとめると、「読み手のために」、「すっと理解できる」報告書を、「ピラミッドストラクチャー」をフレームとして作成しましょう。

□わかりやすい年次報告書を書くための2つのポイント

1つ目は、「デザインを工夫すること」です。
年次報告書は会社の特徴がよく表れたものが一般的です。
そのため、「会社紹介」という側面も強くなります。
会社についてよくわかってもらうためにも、理解しやすいデザインを取り入れることが重要です。

具体的に意識したい点は、以下の通りです。
・文字のフォント、サイズ
・見出しの表現、位置
・会社のロゴを取り入れる

このように、「会社の雰囲気」が分かるような報告書にすると良いでしょう。
会社の評価の向上や、投資家や株主の安心感の向上が期待できるためです。

2つ目は、「写真や表の使用」です。
年次報告書の書き方や内容は、日本では規定されていません。
そのため、適度に写真や表を取り入れ、視覚的に理解しやすい報告書にすることも重要でしょう。

文章だけでは、「会社の雰囲気」や「働いている様子」は分かりにくいです。
そのような点を補うものとして、写真は取り入れると良いでしょう。

また、経営方針や財務状況といったものを分かりやすくするために、図や表を用いると良いでしょう。
財務諸表では分からないものをいかに伝えるか、という点が重要です。

□まとめ

今回は、年次報告書について押さえておきたい基本的な情報をご紹介しました。
この報告書の特徴は、「財務諸表では分からない企業風土などが分かる点」であるといえるでしょう。
作成する際は、「読み手が期待する文章」を考慮したうえで、伝わりやすい工夫をすることを覚えておきましょう。