社内マニュアルで使う画像が著作権侵害にならないためには?


社内マニュアル作成担当者の方で、画像の著作権のルールをあまりご存じない方もいらっしゃると思います。
何となく画像を使っていると、後で取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。
この記事を読んで、著作権に関する知識を身につけましょう。

□著作権とは?

著作権法では、著作物の作者がその著作物の利用に関する独占権を認めています。
もし第三者がその著作物の利用を希望する場合、許諾する際に著作者はライセンス料を得る権利があります。

著作権法は、このような著作者が利益を得られる仕組みを通じ、創作者の創作意欲の向上を狙っています。

*直近の著作権法改正部分について

時代に合わせて定期的に著作権法は改正されており、最近では2020年に著作権法がアップデートされました。
主な改正点は、以下の通りです。

・リーチサイトへの対策
・写真の映り込みに対する著作権の対象範囲の拡大など、よりスムーズな利用をするための措置
・違法ダウンロードに対する規制の強化
・訴訟時の証拠収集手続きの強化など、著作権保護の適切化
・プログラムの著作物登録制度の整備

特に3つ目の違法ダウンロードに対する規制強化は変更点が大きく、それまで映像と音楽のみが対象だったものが、論文、書籍、漫画も対象に加わりました。

□著作権侵害にならない?画像の私的利用とは?

原則として著作物の利用時には、著作者の許諾が必要になります。

ただし、全ての利用に対して許諾が必要になると、著作者の手間が増え、創作活動に支障が生じる懸念があります。
そのため著作権法では、著作者の許諾無しでも著作物を使って良いという、複数の例外があります。
そのうちの1つが、著作物の私的利用です。

私的利用とは、個人的な利用や家庭内の利用など、限られた範囲のみでの使用を目的にする著作物の利用です。
自分だけが鑑賞する目的で画像を保存したり、家族にその画像を見せるためにコピーしたりする場合が、この私的利用にあたります。

ただし、家族以外も閲覧できる場所に画像データを送信したり、家族以外の親しい友人・親戚にコピーを配布したりすると、著作者に対する許諾が必要になりますので、注意が必要です。

□社内マニュアルに使う画像は私的利用にあたるのか?

では、社内マニュアルに使う画像はこの私的利用に該当するのでしょうか。
社内マニュアルは社外の人間の目には触れないように管理するため、私的利用にあたるのではないかとお思いの方も多いです。

しかし実は、社内マニュアルに使う画像は、社内秘という扱いでも著作者への許諾が必要になります。
社内マニュアルの作成・運用も含め、企業が行う活動はすべて営利目的で行われます。
社内マニュアルが直接的に利益に繋がるわけではないですが、その画像を使うことで仕事をしているので、私的利用とは言い難いです。

そのため社内マニュアルが限られた人にしか使われない場合や、完全な社内秘として扱う場合でも、許諾無しで画像使用していると著作権侵害になります。
社内マニュアルの著作権侵害が指摘されている場面を見ないのは、単にその利用が発覚していないだけです。

*引用目的の画像利用は許諾が必要?

私的利用と同じく、引用としての画像利用も著作権法で例外の項目に含まれています。

ただし、画像を引用する際には、いくつかの条件があります。
1つ目は引用元の明記です。
必ず引用元は記載する必要があるので、正しい方法で記載するようにしましょう。

2つ目はその写真を引用する必要性があるのかどうかです。
例えば、著作権法で守られている写真家の撮影した金閣寺の写真があったとしましょう。
その写真を社内マニュアルに引用として掲載しようとした場合、著作権法違反になってしまう可能性があります。
引用は、その写真を引用する理由を説明できなければ認められないからです。

その写真を引用しないと意図する情報を伝えられない場合には、その金閣寺の写真を引用しても問題ありません。

しかし、もし金閣寺と分かればどの写真でも良い場合や、そもそも金閣寺の画像ではなくても良かった場合、「金閣寺のフリー素材を使えば良いではないか」と判断され、著作権法違反になってしまう可能性があります。

そのため、引用する際にはその画像でないといけないのか、判断するようにしましょう。

*フリー素材でも注意が必要

著作者に許諾を取る必要のない、フリー素材と呼ばれる画像も存在します。

しかしフリー素材を社内マニュアルに使用しようとする際には、利用規約を必ず読むようにしてください。

フリー素材の中には、商用利用は認めていないケースもあります。
もし利用規約が確認できない場合は、その画像の著作者に連絡を取り、許諾を取ってから使用するようにしましょう。

□まとめ

今回は社内マニュアルに使う画像が、著作権侵害にならないためにする方法を紹介しました。
社内マニュアルの冊子づくりをお考えの方は、ぜひ当社にご依頼ください。
著作権にまつわることや、冊子の手直しなど、社内マニュアルに関する相談を何度でも受けております。
ぜひご活用ください。