年次報告書の基本的な構成とは?わかりやすく書くためのポイントも紹介します


年次報告書とは、企業が株主や金融機関、投資家に対して年度末に配布する冊子のことです。
企業の長期的なビジョンや経営戦略、経営理念や顧客満足度など、財務諸表では読み取れない客観的データを伝えることができます。
そこで今回は、年次報告書の基本的な構成、年次報告書を作成するメリットについて紹介します。
分かりやすく書くポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

□年次報告書の基本構成とは?

年次報告書の構成に厳密な決まりはありません。
ここでは、基本的な構成の順番について紹介します。

まず、冒頭のあいさつです。
年次報告書の読み手は株主や金融機関、投資家なので、まずは感謝の気持ちを伝える挨拶から始めるのがいいでしょう。

次に、業績です。
年次報告書には、年間を通しての経営内容を報告する、という目的があります。
そのため、年間を通してどのように事業を展開し、その事業の展開でどのような成果をあげられたのか、といった情報を記載する必要があります。

そして、今後の経営ビジョン、目標です。
企業が目指す経営理念や具体的な収益の目標値などを記載します。
また、株主や金融機関、投資家が、今後も投資を行うかの判断材料になるため、目標を達成するためのビジョンや経営戦略も同時に記載しましょう。

最後に、今後取り組もうと考えている新事業や、直面している課題を記載します。
新事業に興味を持ってもらえれば、さらなる投資を受けられる可能性があります。

□年次報告書を作成するメリットとは?

では、年次報告書の作成にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、3つのメリットを紹介します。

1つ目は、任意のコンテンツで企業の魅力をアピールできることです。
先ほど紹介したように、年次報告書には既定のフォーマットが存在しません。
そのため、情報の見せ方を自由に決めることができます。
近年ではESG投資が盛んなため、自社のESGへの取り組みについてアピールできる年次報告書にすると、投資を得やすくなるでしょう。

ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を合わせた言葉です。
この3つの観点を念頭に、経営に取り組むことをESG経営、そしてESG経営を行っているかを基準に企業への投資を行うことをESG投資といいます。
これからに時代、企業が継続的に成長するにはESG経営が必要だ、といわれています。

また、記載する内容だけでなく、データの表現方法やデザインを工夫してわかりやすい年次報告書を作成することも、ブランドイメージの向上につながります。

2つ目は、長期的な視点での投資を喚起できることです。
年次報告書には長期的なビジョンや戦略を気資するため、先を見据えた長期的な投資を行う株主や投資家に、自社をアピールする1つの手段になります。

3つ目は、グローバルな資金調達が可能になることです。
年次報告書は、米国ではアニュアルレポートとよばれており、スタンダートな報告書になっています。
そのため、英語版の年次報告書を作成することで、海外の投資家に対するアプローチの手段になります。

□年次報告書作成のポイントは?

既定のフォーマットがないからこそ、分かりやすい年次報告書にするポイントがわかりにくいですよね。
ここでは、年次報告書をわかりやすくするための4つのポイントを紹介します。

1つ目は、読み手が得たい情報は何なのかを明確にすることです。
どのような立場の人が、何を目的として年次報告書を見るのかを把握し、求められている情報を記載しましょう。
求められている情報をしっかり記載できると、企業への信頼につながります。

2つ目は、経営理念を記載することです。
年次報告書は年間を通しての経営内容を報告するためのものです。
しかし、今後も投資したい、と読み手に思ってもらうには、その経営内容が理念とどう関係しているのか、ということを伝える必要があります。

3つ目は、文章量が多くなりすぎないようにすることです。
文字ばかりの報告書はとても読みにくいです。
図表や写真などを適宜入れ、読みやすい報告書にすることを心がけましょう。
また、グラフを用いることで数字的なデータを視覚化させることも重要です。
文字以外で情報を伝える方法を活用しましょう。

4つ目は、一年間の感謝、そして次年度の呼びかけを記載することです。
業績がいいことはもちろん重要ですが、株主や投資家の方々への感謝を示すことで、さらに印象のいい年次報告書にすることができます。
また、次年度の呼びかけを行い、株主や投資家の方々との繋がりを大切にしていることを伝えるようにしましょう。

□まとめ

年次報告書は、財務報告書などでは伝えることができない、企業の経営理念や長期的なビジョンなどを伝え、株主や金融機関、投資家との信頼関係を強くすることができます。
既定のフォーマットがないため、今回紹介した書き方では不足する部分もあるでしょう。

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