デジタルアートに興味を持ち、イラストレーターでの原稿作成に挑戦したいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、具体的な流れがわからず、何から始めるべきか戸惑っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、イラストレーターで原稿作成する全体的な流れやデータ提出前のチェックポイント、トンボの作成についてご紹介します。
□イラストレーターでの原稿作成の全体的な流れについて
まず、イラストレーターで原稿作成する全体的な流れをご紹介します。
1.新規ドキュメントの作成
イラストレーターでの創作活動を開始するにあたり、最初の関門は新規ドキュメントの作成です。
「印刷」タブからA4サイズを選択し、必要に応じて「プリセットの詳細」でサイズやページ数を調整しましょう。
300dpiのラスタライズ効果を設定することで、鮮明な画質で作品を仕上げられます。
2.レイヤーの構築
次に、レイヤーを作成し、それぞれに「タイトルロゴ」「背景」といった名前を付けて管理します。
レイヤーを重ねることで、後からの編集も容易になり、作品の各要素を独立させて操作できるようになります。
また、レイヤーの順番を変更したり、一時的に非表示にすることも可能です。
3.レイアウトグリッドの設定
作品の構成要素を配置する前に、レイアウトグリッドを設定します。
長方形ツールを使用して、タイトルや画像などの配置を決め、ガイドを作成することで、後の作業がスムーズに進行します。
4.画像の配置と調整
メイン画像は作品の印象を大きく左右するため、最初に配置することをおすすめします。
選択ツールを使って、画像のサイズや位置を調整し、クリッピングマスク機能で必要な部分だけを表示させましょう。
5.タイトルの作成
イラストレーターでは、文字の移動や変形が直感的に行え、文字間隔の調整も容易です。
文字に関する多彩な機能を駆使して、作品に最適なタイトルをデザインしてください。
6.地図の追加
地図を新しいレイヤーに追加し、画像と同様に調整します。
細部が不明瞭な場合は、ペンツールでトレースし、オリジナルの地図を作成するのも一つの方法です。
7.背景の作成
スウォッチライブラリーメニューから選択できるパターンを背景に使用し、作品に深みを与えましょう。
編集後は、そのレイヤーを一番下に移動して、背景として機能させます。
8.イラストの追加
新たなレイヤーにイラストを追加し、ベクター形式であれば、形や色の変更も自由自在です。
自信のある方は、イラストレーターを使ってオリジナルのイラストを描けます。
9.印刷用データの作成
最終的には、PDF形式で書き出すことで、印刷に適したデータを作成できます。
「Adobe PDF」として保存することを忘れないでください。
このように、イラストレーターを使った原稿作成は、一見複雑に思えるかもしれませんが、一つ一つの手順を丁寧に踏むことで、誰でも美しい作品を作り上げられます。
□データ提出前のチェックポイントを紹介します
*トンボと塗り足しの確認
印刷物の品質を左右する重要な要素が、トンボと塗り足しです。
これらは印刷時に白いフチが生じないように、また断裁時の微妙なズレに対応するために必要な設定です。
トンボはカットガイドとして機能し、塗り足しは背景色や画像がページの端まで綺麗に表示されるようにするための余白のことを指します。
*解像度の設定
画像の解像度は、印刷品質に直結します。
一般的には300dpiが推奨されており、この数値を下回ると画像が粗くなり、プロフェッショナルな仕上がりからは程遠いものになってしまいます。
イラストレーターでは画像の解像度を事前に設定できるので、この点をしっかりと確認しましょう。
*フォントのアウトライン化
フォントのアウトライン化は、印刷時にフォントが変わってしまうリスクを避けるために行います。
アウトライン化することで、テキストは図形として扱われるようになり、どのコンピューターで開いても同じ表示が保証されます。
ただし、この操作を行うと後からテキストの編集ができなくなるため、操作前には必ずデータのバックアップを取っておくことが重要です。
*画像の埋め込み
リンクされた画像ではなく、埋め込み画像を使用することで、ファイルを他のPCで開いた際に画像が表示されないというトラブルを防ぎます。
イラストレーターでは、画像を埋め込むことで、データを一つのファイルとして完結させられます。
そうすることで、印刷会社にデータを送る際も、画像が欠落する心配がなくなるでしょう。
これらのチェックポイントを一つ一つ確認して修正することで、印刷時のトラブルを未然に防ぎ、品質の高い印刷物を実現できます。
□トンボの作成について解説します
ai形式で入稿する場合、長方形ツールを使用して仕上がりサイズに合わせた透明な四角形を作成します。
この四角形にトリムマークを適用することで、トンボが生成されます。
この操作は、印刷会社への入稿前に必ず行うべきものであり、仕上がりの精度を高めるためにも重要です。
トンボを作成した後は、アートボードをトンボに合わせて調整する必要があります。
アートボードツールを使用して、オブジェクト全体に合わせる操作を行うことで、アートボードが自動的にトンボに合わせて調整されます。
そうすることで、印刷時にトンボが適切に機能し、正確なカットが可能になるのです。
作成したトンボは、誤って動かさないようにロックすることが推奨されます。
また、仕上がり線としてトンボを利用する場合は、ガイドを作成して印刷されない目安として使用できます。
これらの操作を行うことで、デザインの精度を保ちつつ、印刷工程でのミスを最小限に抑えることが可能です。
以上の手順を踏むことで、トンボは印刷物の品質を保証するための基盤となります。
□まとめ
イラストレーターを用いた原稿作成は、初心者にとっては多くの手順と注意点があるため、一見すると複雑に感じるかもしれません。
しかし、基本的な流れを理解し、各ステップを丁寧に実行することで、誰でもプロフェッショナルな仕上がりのデザインを作成できます。
ご紹介したポイントを意識することで、イラストレーターを使った原稿作成が、より効率的かつ効果的になります。
これからも、イラストレーターの無限の可能性を探求し、自分だけのオリジナル作品を生み出していってください。