ゲリラ・ドローイング集の印刷を依頼
- hima:// さんはキョウユウにどんな印刷を依頼したのでしょうか。
キョウユウにはゲリラ・ドローイング集「In the twinkling of an eye」の印刷を依頼しました。本の仕様は次のようなものです。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
判型 | A5変形 | 148mm*148mmの正方形 |
ページ数 | 46頁 | オールカラー |
紙 | 厚手コート紙 | 表紙:135g、本文:110g(マット) |
データ | イラストレータで制作 | PDF入稿 |
販路 | 個展、イベントでの即売。 HP上での通信販売。雑貨店での委託販売 |
価格1200円 |
「イラストの写真集」という不思議な本
- In the twinkling of an eye.の特徴を教えてください。
通常のイラスト集ではイラストの原画を印刷します。でもIn the twinkling of an eye.は、イラストを撮影した写真を載せています。つまり画集ではなく、「イラストの写真集」という形になっています。
私はときどきゲリラ・ドローイングをやっています。これはインスタグラムなどで「3日後にドローイングやります」と宣言し、当日は1~2時間かけて絵を描いて、できた物から次々に写真をアップして注文を募るというものです。先日は12星座それぞれをテーマにして3日で12枚を描き、12枚とも完売しました。
In the twinkling of an eye.は、インスタグラムに載せた写真を集めたものです。わたしは絵には一番よく見える場所、よく見える時があると思っています。
ゲリラドローイングのイラストでは、描き終えていちばん気持ちが高ぶっているとき、生まれたてのイラストが自分にとっていちばん可愛く思えるとき、それを客様に発送する直前の別れがたいような気持ちが混じり合っている、そのときに撮った写真が、きっといちばん可愛く、そして格好良く撮れているはずなので、その写真を集めて本にすることにしました。
プロダクトとしての仕上げを狙う
- 今回の本作りでこだわった点は?
「プロダクト」っぽく、ということでしょうか。
私は「手作りの作品」よりは、「パッケージされた大量生産品」の感覚が好きです。私のプロダクトブランド性的殺意の製品も、手作業の少量生産品なのですが、決して「手作り感」が出ないよう気をつけています。In the twinkling of an eye.も手に取った時の「プロダクトとしての感触」は重視しました。
私は本は、手元の一冊よりも、納品直後の刷り上がった本が大量に積み上がっているあの感じの方がグッと来ます。印刷物は、あのオフセット印刷の独特の匂いも本当に大好きです。
性的殺意のプロダクト
同人誌とフライヤーで印刷発注の経験を重ねる
- hima:// さんが本の印刷を初めて経験したのはいつ頃ですか。
高校時代は、地元や東京で同人活動をして、同人誌を作って刷っては東京で販売していました。その同人誌が私の印刷デビューです。
印刷会社は他の同人誌の奥付を見たりクチコミで聞いたりして調べました。その頃の基準は「評判が良くて安くて入稿納期が甘いところこがいい」というものでした(笑)
ただ当時から印刷に凝りたい気持ちはあったので、高校生が手が出せる範囲で特殊紙にも手を出しました。マーメイドなどエンボスかかったような紙を使って、フルカラー印刷をしたりです。本全体の質感と厚み、持ったときの手応えはその頃から気にしていました。
その頃はバンド活動もしていて、バンド仲間のフライヤーをバイトで作ったりもしました。20枚ぐらい手がけたと思います。このとき印刷の知識がだいぶ身につきました。
イラストレータとして最初に印刷したのは、今から5年前、2011年に作った、イラストや写真その他を混在させたコンセプト作品集になります。
赤字が出るまで印刷にこだわったことも
- その本ではどんな印刷をしたのでしょうか。
そのときはデュプレという、表に白が薄く塗ってあるクラフト紙を使って、表はフルカラー、裏がモノクロという形で印刷しました。デュプレはほとんど使われていない紙だったので、ぜひ私が使いたいと思いました。
ただあまり凝りすぎたせいで原価が販売価格を超えて赤字になりました。その本は結局、数冊しか発行できませんでした(笑)
そして今回、久々の作品集「In the twinkling of an eye.」を出したわけです。
予算と納期の制約の中でも理想を追求
- 今回は印刷会社はどのように探したのでしょうか。
とりあえずは自分が知っている「定番の印刷会社」を当たってみました。ただそこは値段が高く、また自由度もありませんでした。
今回の本は表紙は一色でOKでした。そういう細かい工夫で印刷費を節約したかったのですが大手の会社では、印刷形態は良くも悪くも「メニュー化」されていました。このメニューならこの値段、あのメニューならその値段というようにシステム化されており、相談して工夫する余地はほぼなかったのです。
そんなとき知人のアーティストから「ここ、相談できて融通聞くよ」と紹介されたのがキョウユウでした。まずは連絡してみたところ、確かに相談できそうな印象がありました。
このときの印刷には予算と納期の、二つの制約がありました。まず予算ですが、自費出版なので予算は当然、限られています。キョウユウさんにはまず予算上限を伝えて、その後も予算ありきで工夫していきました。打ち合わせのときは赤裸々に話しました(笑)
次の「納期の制約」ですが、この本は8月1日の個展で販売したかったので、そこには必ず間に合わせたいところでした。入稿は押しに押して、結局キョウユウにデータ入稿したのは7月22日でしたが、しっかり間に合わせていただけました。ありがとうございます。
キョウユウの仕事品質への評価
- 今回の印刷物へのご感想をお聞かせください。
届いた本を手に取ってみて「重量感あるなあ」と嬉しくなりました。発色や仕上がりにはとても満足しています。読者の皆様からも好評をいただいています。
キョウユウからは、一点とてもありがたい心遣いがあって、それは、表紙に「折り線」をいれてくださったことです。たしかにこの凹線がないと、何度も表紙を開いているうちに本が傷んでしまいます。
折り線は私が指定したわけではなく、キョウユウの方で追加料金もなく自主的に入れてくださいました。ちゃんと本が読み手に届くところまで想像して印刷をしている会社なんだなと、あらためて思いました。
先輩ユーザーからのアドバイス
- 現在、印刷会社を探しているアーティストに向けて「先輩ユーザーとしてのアドバイス」などあればお聞かせください。
普通の印刷物が作りたい人は、テンプレート通りの普通の印刷会社でいいかもしれませんが、アーティストの場合は、それぞれ「自分なりの理想状態」があると思います。そんな理想型を予算と納期の制約の中で、それでも絶対に実現したいという人にはキョウユウはおすすめです。