トーマネ 岩下沢子氏に協友印刷(以下 キョウユウ)に印刷を依頼した経緯とその評価について詳しく聞きました。
高級マネキンの販売用カタログの印刷を依頼
- トーマネはキョウユウにどんな印刷を依頼したのでしょうか。
トーマネは、このたびドイツの大手マネキンメーカー GENESIS DISPLAY(GENESIS)の日本独占販売権を取得しました。キョウユウには、GENESIS MANNEQUINS の総合カタログの印刷を依頼しました。
GENESISは現在の重点販売商品なので、カタログも「特別な仕上がり」にしたいと考えました。仕様は次のとおりです。
- 【サイズ】
- ヨコ185×タテ297㎜という、細長の特殊サイズです。
- 【表紙】
- ・表面の「GENESIS」のロゴは、浮き出し文字(エンボス)にしました。
- ・表紙左に「スジ入れ」加工を施しました。これはキョウユウからの提案です。この筋を入れないと、何度も使っているうちにカタログがバラける可能性がある、またスジがある方が見た目も引き締まる、とのことでした。美観と耐久性の両方を考慮した良い提案をいただけました。
- 【紙】
- ・紙は、表紙に「サンサンケント菊判153kg」、本文に「同93.5㎏」を使いました。
- ・マット系の白い紙には、「やや黄味がかった暖かい印象の白」と「青いまでに冷たいオフホワイト」の2系統がありますが、今回はカタログ全体に透明感、静謐感を与えたかったので、後者を使いました。
- 【合紙】
- 本文(サンサンケント93.5kg)の上に、合紙(XDTトレーシングクリアホワイト45㎏)が重なる仕様にしました。本文に描かれているマネキンのイラストに、トレーシングペーパーを重ねれば、そこに書かれている洋服やオブジェなどをマネキンが着ているように見えるという仕様です。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
印刷部数 | 300部 | フルカラー、28ページ(本文20ページ、合紙8ページ) |
版下データ | トーマネ側で制作 | イラストレータ |
色校正 | 2回 | 本機校正、プルーフ校正 |
キョウユウを選んだ経緯
- 今回、キョウユウに印刷を依頼した経緯を教えてください。
ふだんは印刷会社は「コスト優先」で選んでいますが、今回はそれだけでなく「特殊な印刷に対応できること」も条件に加えました。
今回のカタログはデザイン(版下)は私たちがPC上で制作しますが、しかしディスプレイ上で見える色がそのまま印刷物(紙)で発色できるとは限りません。今回のカタログは、絶対的な高級感が必要でしたので、印刷会社にはぜひ色、そして形について深い知識、経験、実現力を求めたいところでした。
まずはネットで検索して、「紙の種類がたくさんある」、「特注対応が可能そう」などの条件でリストアップします。次にそれら候補会社に電話して、「表紙のロゴはエンボス、無線とじ、合紙」など基本条件を伝えました。
しかしどの会社も「ウチにはできません…」「あ~無理無理」といった対応で、やはり印刷会社には、「定型の大量印刷を好み、特注の面倒な仕事は敬遠する」という傾向があるようでした。
そうして検索を重ねるうちにキョウユウを見つけましたが、最初にホームページを見たときには、正直なところ「定型印刷が主分野。特殊なデザイン印刷はやってなさそう」という印象を持ちました。
それでもダメモトで、「エンボス、無線とじ、合紙の印刷を頼みたいのですが…」と電話で聞いてみました。すると「できますよ」という返事でした。
サンプル本で実力を確信
- その返答を聞き、その後どうしたのでしょうか。
そう言うのならとりあえず信じてみようと思い、まずは打ち合わせに来ていただき、こちらの希望する仕様やイメージを伝えたところ、キョウユウから「現状の版下データをいただければ、サンプル見本を作ります」という提案がありました。
その後、完成した見本を見たところ、十分な仕上がりであり、「この会社は私たちの言うことが理解できている、大丈夫だ」と確信できたので、注文することにしました。「サンプル見本までは無料対応、出来栄えに満足したら本注文」という進行にも、誠実さと自信を感じました。 その後、何度かの色校と打ち合わせを重ね、1カ月後にカタログが刷り上がりました。期待どおりの仕上がりとなり、満足しています。
キョウユウの仕事への評価
- カタログを作り終えてのキョウユウへの評価をお聞かせください。
キョウユウは、仕事の進め方全体に信頼感がありました。ひとつひとつ正しく手順を踏んでいき、プロセスを省略したりすることがなく、安心感があります。
また「紙」という媒体に対して、思い入れを持っている会社なのだなと思いました。ひとつひとつの対応や提案内容から、思いがそこはかとなく感じられるのです。
そしてホームページの印象とは違って(?)、美術的な表現力をきちんと持っている会社でした。こんなにちゃんとできるのに、あのホームページは少しもったいないかもと思ったほどです(笑)。
おかげさまでお客様に自信を持って見せられる、素晴らしいカタログができあがりました。これからも実力派の印刷会社としてがんばってください。今回は有り難うございました。
※取材日時 2015年9月
※取材制作カスタマワイズ